‘いつも いつも 僕らはまだここにあるさ’
名盤。GrapevineがLIFE TIMEに込めた祈り
華々しくデビューを飾ったようにみえた。シングル「スロウ」がJPOPランキングで4位に食い込み、突如、脚光を浴びることになったグレイプバイン。
それは恐らく、彼らにとって予想外だったんだと思う。
自分たちが求めていたものと、周りから求められているものの違いに気付いた彼らは、鳴らす音に迷っていたんじゃないか。
そして、そのスロウが入ったアルバム、「Lifetime」が満を持してリリースされる。
- アーティスト: GRAPEVINE
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 1999/05/19
- メディア: CD
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なにが見たくて、何がしたくて、行きたかった理想の場所がくだらないものに見えたとき、突然どうしてこんなことをやっているのかわからなくなったとして。
彼らはその先になにを見たのだろう。
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‘見覚えのない星がバカに目立つ夜だ 珍しく口を開いた君が言った’
旅立ちの夜と聞いてなにを思い浮かべる?
荷物をいっぱいにつめこんだリュック。お気に入りの本、トレードマークの帽子。小さく見えた自分。これから見ることになる毎日にワクワクしながら、靴を履いた瞬間、なんでか急に心細くなったこと。
そこから何かが変わっていくだろう
壊れた形や 消え失せた色 / Reminder
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‘さよなら ありがとう 幸せになってね’
きのこ帝国「ロンググッドバイ」にあるさよならと、最新作「猫とアレルギー」における別れの違い
根底にあったさよならは、バンドの原型、きのこ帝国というパズルの一つを成すものだと思う。
それは初期のアルバムにも大いに漂っている。どうしようもない、という諦め、それを意識することによる追憶。
叶わないものから、順番に愛してしまう / N2.海と花束
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自己紹介
少年のやることは全て、正しくないんだと言われ育った。
いつも自信がなかった。
何をやっても怒られたんだ。
怖くてビクビクしていた。
誰かに否定されるのを嫌ったから、無難な選択をするようになった。
顔色を見るのがとてもうまくなったんだ。
家以外で怒られることはなくなったよ。
でも自分はどこにも居なかった。
眠れない夜がいくつあっただろう。
ある日偶然聞いた音楽に少年は息を飲む。
その曲の中にはとんでもない奴がいて
そんな少年に「正しい」と言った。
ほとんど初めての経験だった。
それから、少年はすこしずつ自分の意見に耳を貸すようになる。
周りはみんな違うと否定することも
CDの中の音楽はそれでいいと言った。
初めてケンカをしたときも
お前はひとりじゃないと言った。
口答えするなと怒鳴られた夜も
そばにいると言った。
傘を忘れた雨の日も、イジメられた帰り道にも、フラれた夕焼けの日も、
アイツは「それがどうした」と言う。
たったひとつの味方が出来てから、もう否定されるのだって怖くなかった。
いつもアイツが背中にいたんだ。
男の子は大きくなり、次第に子供の頃の幻想が剥がれてきた。
いつの間にか自転車は自動車になり
ヨーヨーやラジコンは無くしてしまった。
セキニンを押し付け合い、誰かを否定する立場になったことを知る。
日々の喧騒の中、愚痴や倦怠に塗れたあの日の大人がいた。
数字や理屈や肩書きで判断する彼らは、少年を認めてはくれなかった。
「無理だ」と「現実的に考えろ」が口癖のそいつらは、子供の頃の夢を次々と壊した。
彼らにとってたったひとつやっちゃいけなかったことは、そいつらが「戯言だ」と壊そうとするものの中に
少年のヒーローもいたことだ。
あのフレーズを口ずさむ
「それがどうした」
Remember our drinking song
これから書くことは、そんな僕のヒーローのこと。