‘描いた夢のまま 静かに 浮かんで また消えてくのさ’
大それた「夢」なんて持っていなかった。
でも流れ星に願いを託したりするほど吹っ切れてもいなかった。
諦めていないはずなのに、確かなものは無かったんだ。
それでも憧れはずっと消えなかった。
何かに全力になったあの頃、だからこそ少しのことで怒って泣いたあの時。
思い出になった。もうそんな感情に振り回されることも無い。めんどくせえが口癖だった、本当を言うと、退屈だったんだ。
何にも起こらないことが当たり前になった僕らの世界。
何か面白いことないかな。その何かがどんなもんなのかは、わからないけど。どこかでなにかがおこってもいいんじゃねえかって、そんな期待をするほど何もする気がなくなってしまった日常に、’アレ’は現れた。
静かに 静かに ただ静かに 夢を見ている / Last Scene
夢だったのかなって思う。今でも見るたびに。初期のライブ以降演奏することはなかった曲群。あれ以来起こらなくなったダイヴ。リスナーそれぞれに押し込めていたものが崩壊するように加速して浄化していく。ずっと目を閉じたままのコーダイ、ミキちゃんが声を詰まらせるstrobolight、Sunday peopleのハモり。こんなにハジけたナカコーは、もうこれ以来見たことがない。storywriterでジュンジが飛ぶ、同時に少し離れた、でも隣にいるナカコーが笑う。この映像の最後、メンバーが一人づつ去って行って、ジュンジが一人、いつもよりもずっと長くギターを弾き続ける。歓喜と悲鳴と憧憬とが張り詰めたステージで、1人残って演奏をし続ける。4人で作った奇跡みたいなバンド。一番解散したくなかったのは、もしかしたらジュンジだったのかもしれない。青森の田舎から見た東京の高級車は、どんな風に見えたんだろう。解散するあのステージの上でも、同じように見えていたんだろうか。4人が去った後、誰も動こうとしない会場に、最後の曲が流れる。Last scene。そして、スクリーンに文字が映る。
「thank you supercar」
この時代は奇跡のバンドが数多くあった。
ラッキーだと思う。
だけどまた、退屈なんだ。
コレでよかったのかもしれない。幸運にもそんな時代があったことを、話せる友人が僕には数人いる。解散した理由を聞きたいわけじゃないんだ。ただ、少しまた寂しいだけ。ぼんやりとそんなことを思いながら時々考える。
「アレ」はなんだったんだろう。
でも信じてるんだ。またアレは現れるって。
現実にならなくてもいいんだ、多分きっとならない。
それでもこれを聴くと起こりそうな気がする。
それまでクリームソーダ飲んで待ってるよ。
それまでもう泣かないよ。
いつかはキミと ホントの空を / cream soda
サンキュー。スーパーカー。
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